阿部 葉子 | 朝羽 由紀 | 上原 正久 | 大内 雄馬 | 大森 沙樹子 | 躍場 裕佳子 | 柿田 真吾 |
神谷 悠季 | 木村 優子 | 佐藤 裕平 | ジョン スミ | 末永 幸歩 | 高野 希美 | 瀧田 梨可 |
竹内 舞 | 棚田 絵理子 | 谷口 匠 | 當眞 未季 | 中田 莉央 | パク ジュン | 日吉 ちひろ |
藤原 瞳太 | 馬淵 彩 | 森下 賛良 | 師田 有希 |
Beyond the Yokohama Triennale
芸術、都市、そして人。芸術による都市の成長と芸術による人間の進歩は今日、世界中はもちろん日本でも行っているものである。なぜ都市は芸術を中に入れて成長しようと思っているのか、そして人は芸術によってどのように進歩しているのか、その答えは今回の「横浜トリエンナーレ」から確認することができると思う。
今回の第3回「横浜トリエンナーレ」は単なる国際展示とは違い意味を持っていると思われる。その点が第3回「横浜トリエンナーレ」の特徴である。結論から言うと今回の「横浜トリエンナーレ」は都市(横浜)と人のために作られたものであり、芸術を利用して都市の競争力や市民の自負心を高める戦略的な大型アート・イベントである。
今、世界はグローバル化されて、世界はより広がっていると思うようになっているが、それはある意味で、逆かもしれない。現代の人々は自分の周りが前より広すぎて不安を感じるようになっている。その影響で人間は集団を作って、その中から安定を得る。その流れで原始時代から人間は集団を作ってきて、それが現在の都市や様々なコミュニティーになっている。集団の一つ、最も重要なものとして国は現代の人が感じるためには大きすぎるかもしれない。それで登場したのが都市で、都市、それ自体が個人個人の歴史を作る場所になっている。その都市が今、芸術を自分の中に入れてより強くなろうとしているのだ。その結果、世界の都市たちは芸術を中心に新しい動きを開始している。もちろん横浜市でも新しい動きが始まったが、それは都市の中に美術館や博物館を建てることではなく都市全体を芸術化させることであった。
横浜市は2002年から「クリエイティブシティ」という都市ビジョンを作って本格的に動いているが、今回の「横浜トリエンナーレ」が第1回と第2回違うのはようやく2002年からの都市ビジョンに最も近接した「横浜トリエンナーレ」を果たしているためだと思う。
今回の展示会場が横浜市のいろいろな場所に準備されたのは都市全体を展示場のように感じて、横浜市のすべての要素が芸術と関わっていると思われるように企画したものだからだと思う。そして、第1回と第2回が現代芸術に興味を呼び起こすためだったと言えば、今回は現代芸術の最も重要な60、70年代の戦後美術を教育的な意味で紹介したと思われる。なぜ、一般の人々が難しく感じるような企画をしたのかは今回の「横浜トリエンナーレ」が単なる国際展ではなく発展的意味を付与しているからで、他の国際展とは差別化をはかっているためだ。それで国際展の流れの先頭に立つ。そういう理由を持っているために間違いないだろう。
もう一つ、今回の企画の特徴としては展示に参加している横浜市の市民、 ボランティアやスタッフのやりかたがある。今回の「横浜トリエンナーレ」ではボランティアやスタッフの人たちが自発的な進行の演出ができるように構成されている。最初は生半可に見えるかもしれないが、時間が経てば経つほど自分から感じたものを相手にうまく伝えることができるようになるわけだ。その結果、ボランティアに参加した人たちはより芸術に興味を持ち、その中心になっている都市自体にも、より積極的な支援を惜しまなくなるだろう。それは「クリエイティブシティ」という都市ビジョンともつながれる要素になるはずだ。
このようなプロセスで2008年、第3回の「横浜トリエンナーレ」は都市と市民をより強く発展させる都市戦略アート・イベントになっているのではないだろうか。
(パクジュン)