2015年度 卒業研究・制作
2015年度 卒業研究・制作の中から、作品表現1作品を紹介します。
作品表現
アートとしてのネオンサイン
作品表現 / 優秀賞
石田朱音 ISHIDA Akane
メディアプランニングコース
楫ゼミ
2015年度卒業
私はネオンサインの持つ、暖かで独特な光をとても美しいと思う。暗間をぼうっと映し出すネオンは空間を幻想的なものへと変貌させる。しかし現在、安価で大足生産が可能なLEDなどの新しい素材に取って代わり、ネオンは退廃の一途をたどることとなってしまった。
1970年代のアメリカに、すでに街から消えつつあったネオンをリバイバルさせるため、画家、彫刻家、ファッションデザイナーといった、ネオンに触ったことのないアーティストばかりを集めた工房を開いたルディ・スターンという職人がいた。その試みによって、単なる看板としてしか認識されていなかったネオンに新たな可能性が与えられ、アートとしての価値が見出されることとなったのである。
私も彼と同じように現代の日本において、ネオンの価値を再確認する機会を設けたいという思いから本研究に取り組んだ。今だからこそ可能なネオンの新たな表現を模索するため、プロジェクションマッピングの技法を用いて、ネオンX映像の相互作用を期待した実験を行うこととした。
また制作に際して、実際にネオンサインエ房へ行った取材や文献などから、現在ネオンが抱える問題と、それを解決する方法についても研究し、文章と映像で表現した。映像の目的は、意外と知られていない「ネオンサインの作り方」について分かりやすくまとめることで、ネオンの職人的な一面を理解してもらうことである。
今まさに消えてゆく工芸を存続させるため、本研究から少しでもネオンに興味を持ってもらえたら幸いである。