メッセージ

芸術文化学科の理念

 武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科は、1999年の学科創立以来、社会を支える基盤としてますます重要になっていくアートやデザインと、それらを生み出す芸術文化を、理論と実技の両輪から多角的に研究しています。
 現代社会において、分野を横断した幅広い視点と、そこから生まれる新たなビジョンにより、根本的な社会の問題を見直すための提案が必要であると私たちは考えます。そのため本学科では、芸術文化と社会を接続するための、未開拓な視点の創造と実行力の獲得を目指し、専門性に長けた教員が、プランニング・マネジメント・ミュゼオロジーを中心的な3領域として、理論と実技、演習のバランスの取れたカリキュラムを4年間を通して提供します。
 以上の教育・研究を通じて、調査・研究、企画・運営、教育、批評、アート、デザイン、マネジメント、キュレーション、編集など、これからの社会において欠くことのできない分野で十分に活躍する人材を輩出することを目的としています。

ごあいさつ

 世界は現在、気候変動や地震などによる自然災害、あるいはコロナ禍や紛争などで、かつてないほど不確かで不安定なものになっています。そして社会と経済の国際的な構造も急速に変化し、従来の価値概念や認識の機能も新たなものに大きく変わりつつあります。アートやデザインの分野でも、技術や様式といった内在的な領域を超えて、今日の社会状況や歴史的背景といかに関わるか、社会的な環境や変化の流れにどう対峙していくかが重要な課題になっています。
 芸術文化学科は、芸術と文化の社会における役割について、領域横断的かつ実践的に探究する場として、あるいは、芸術と文化創造のための環境や組織そのものを社会の中に設計し、それらを独創的にマネジメントできる専門家を養成する場としてプログラムされています。具体的には、各種デザイナーやアーティストなど様々なジャンルのクリエイターはもちろんのこと、美術館、企業の文化制作室や企画室、出版社などで活躍する、学芸員やプロデューサー、あるいはディレクターや編集者など、アートやデザインを総合的に把握し、目的に応じて有効に関係づけ、価値づけていくことができる多様な人材を輩出しています。
 既存の芸術と文化の在り方、社会的役割も今後大きく意味を変えていくことでしょう。芸術文化学科では時代の変化を見据え、より有効な芸術活動、デザイン活動、文化活動、環境について考察していく視点を大切にしたいと考えています。理論的な学びと同時に、絵画、デザイン、映像などの実践的な実技・演習科目も充実させ、作り手と受け手の両方の視点から芸術文化全般をとらえていきます。そして総合的・複眼的視野を身につけた幅広い知識と確かな判断力を兼ね備えたプロフェッショナルを育成します。また旧来の専門・縦割り型の大学教育から脱皮した、これまでの学問の枠をこえた横断的な知識の再編成をめざします。そのために、芸術文化学科には多様な分野の専門教員やスタッフがひかえており、幅広い視野から総合的に思考していく基礎力と応用力を育成していきます。

主任教授
是枝開


芸術文化学科の英語名称変更

2024年4月1日より、芸術文化学科の英語名称を下記のとおり変更します。

旧:Department of Arts Policy and Management
新:Department of Art, Culture and Design Studies

 芸術文化学科の英語名称は、1999年度の学科創設以来「Arts Policy and Management」で、Policyは「政策」を、Managementは「管理・運営」を指し、日本語の学科名称「芸術文化学科」が間接的に示す、創立当初に特に重視された、文化政策やマネジメントの理念を含むミュゼオロジー(博物館学)等の芸術の活用に注目する学科の性格を表したものでした。
 その後、社会における芸術の活用は、文化政策やマネジメント、ミュージアムに限らない幅広い様相を呈するようになっています。本学科では、そのような芸術文化の社会的な価値や、アート・デザインの役割・機能に対する期待がより高まってきた近年の社会状況を反映して、2019年度から学科の教育・研究・社会実践にかかわる「芸術文化学」の概念を提起し、芸術文化の社会におけるよりよい活用を、アート・デザイン領域を基盤として、プランニング(企画構想)・マネジメント(経営・運営)・ミュゼオロジー(博物館学)の3つの柱によって展開することを目指しています。
 学科創設から25年を迎えようとしている現在、本学科はより充実した学内外に向けた活動のために、多様なアート・デザインの実技的な諸領域を横断的につなぎ、それらを深層から支え規定する、表現に関わる実技の観点と、芸術文化にかかわる歴史・教育・博物館学などの理論的な枠組を、実証的な視点として設定した上で芸術文化の実践的な社会活用に向き合う必要があると考えます。そこで、芸術文化の社会活用の全体を包括しようとする芸術文化学の理念を反映した学科英語名称「Art, Culture and Design Studies」への変更を行うこととしました。

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