若狭塗箸について
若狭塗箸は、福井県小浜市で生産される漆器「若狭塗」の技法を用いて作られた塗箸です。その美しい模様から「宝石塗」とも呼ばれています。貝殻や松の葉、卵の殻を用いて模様を生み出し、その上に漆を何度も塗り重ねます。その後、研ぎ出すことで新たな文様が浮かび上がります。福井県南西部に位置し若狭湾に面する小浜市は、日本の塗箸の全国シェアの80%以上を占める一大生産地であり、日本の食文化を支える「若狭塗箸」の拠点です。
若狭塗の起源は、約400年前の江戸時代に遡ると言われています。寛永11年(1634年)、若狭の国に赴任した藩主・酒井忠勝がこれを「若狭塗」と命名し、家中足軽の内職として保護・奨励したことから、明治以降に名工が輩出され、大きく発展していきました。
丹念に時間をかけ、労力と高度な技能を費やして制作される若狭塗は、堅牢で熱や水にも強い特性を持ちます。そのため、日常的に頻繁に使用しても長期間耐えられる品質です。伝統的な茶器や箸だけでなく、創意工夫を凝らして現代のライフスタイルに合った日用品としても活用されています。