渋谷区文化教養講座/春原史寛
令和3年度 渋谷区 文学・文化教養講座
「この絵はよくわからない?」の多様性を楽しむための美術鑑賞・美術史講座―先史・古代から現代までの西洋・日本美術史の大きな流れを学ぶ―
講座概要
近年、ビジネスにおいてアートや美術の歴史が「教養」として注目されています。また、アーティストのものの見方や表現の考え方が、社会の様々な局面を充実させる「アートシンキング」として重視されるようになってきました。美術から世界のいろいろなことが「わかる」のです。
ですが、わたしたちが作品や表現に向かい合った時、「わからない」と思うことがよくあります。実はその多様な「わからなさ」は、自分にはまだない世界の可能性を見せてくれるきっかけだったり、社会には、完全には理解しきれないけれど共に生きていく、多様性に満ちあふれた存在があることを教えてくれることもある、とても大切なものだと思います。
この講座では、わたしたちが美術に触れるときの自分のひとつの指針となる、世界の美術の歴史の大きな流れをわかりやすく学びながら、「わからない」ことの豊かさから考える美術の魅力を味わうことを目指します。
講師:春原史寛(武蔵野美術大学芸術文化学科准教授)
日程:2021年11月、120分×4回
会場:千駄ヶ谷社会教育館・3階学習室
対象:渋谷区民(一般向け)
講座内容
第1回
・ガイダンス:何のために鑑賞するのか、美術史を知ろうとするのか―鑑賞と美術史―
・美術がわからないとは何か(1):自分で価値をつくりだす鑑賞
・先史時代の美術の歴史を考える
第2回
・美術がわからないとは何か(2):視覚のみに頼らない身体性と五感による鑑賞の意義
・古代から中世の美術の歴史を考える
第3回
・美術がわからないとは何か(3):美しくない美術、思考を要求する美術
・近世から近代の美術の歴史を考える
第4回
・近代から現代の美術を考える
・まとめ:わからなさから「なぜ」を生み出す創造的な鑑賞