電気通信大学UECコミュニケーションミュージアム インタビュー
東京都調布市にあり、情報理工学域(学部)と情報理工学研究科(大学院)を持つ国立大学法人電気通信大学(UEC)は、キャンパス内にUECコミュニケーションミュージアムを開設している。今回のインタビューはコロナ禍等の状況を鑑み、メールで実施した。
電気通信大学UECコミュニケーションミュージアム
〒182-8585 東京都調布市調布ケ丘1-5-1
https://www.uec.ac.jp/facilities/information/museum/UECコミュニケーションミュージアムのミッション(目的)を教えてください。
当館は無線通信機器やコンピュータなど、本学の教育研究に関連する歴史的機器や資料を収集・保存・展示し、教育及び学術の発展のため広く利用することを目的としています。
貴館のポリシーについて教えてください。
無線通信技術の発展に沿う形で収集を行うことのみならず、学術文化財の保存管理、博物資源の収集、次世代教育、展示公開、国際交流を担います。
常設展示と企画展示を公開されていますが、常設と企画の展示替えのスパンはどのくらいですか?
常設展示替えのスパンは、特に決まっていません。基本的に常設展示のみです。近年、当ミュージアムとも関連のある他の博物館施設(特にNTTや総務省)の閉鎖が続きましたので、それら他施設の展示品の移譲に伴って当ミュージアムの展示品の整理・入れ替えを行うこともありました。1854年の徳川将軍へのペリー提督の献上品のレプリカなどがその例にあたります。
企画展示も、特に決まっていません。2011年の東日本大震災の後に「災害と通信」をテーマに「通信の重要性」に着目した企画展を実施しました。また、過去に一世を風靡したアマチュア無線の技術をテーマに、2013年に「自作の時代」という企画展を開催しています。
正規職員は8名とのことですが、この中に館長は含まれますか? また、契約職員や派遣職員、アルバイトがいないことのメリットやデメリットはありますか?
館長を含めた人数です。8名の内訳は、ミュージアム運営委員会のメンバー6名と事務職員2名です。他に、受付及び事務を担当する非常勤職員がいます。契約職員等がいないことのデメリットは特にありません。
ボランティアが20名と大変多いですが、内訳は学生ですか? 地域の方ですか?
20名の内訳は、学長から公式に委嘱を受けた学術調査員(任期は2年で再任可、75歳までの年齢制限あり)が10名と、館長による委嘱を受けた特任学術調査員(任期は1年で再任可、学術調査員の経験を有する者)が10名です。学術調査員は案内、展示の整理、収蔵などを担当し、特任学術調査員は、学術調査員を補佐しその活動を支援するとされています。
この20名は、本学OB11名と通信・放送・情報関連業界の技術者9名ですが、対象者を卒業生に限っているわけではありません。
ボランティアの具体的な活動内容を教えて下さい。
展示品の修復保全や説明用パネルの作成・掲示のほか、科学・技術史における当該展示品の位置づけにかかわる調査研究などを行います。また、コロナ以前の通常状態では、見学者への説明・案内も務めていました。大学のミュージアムですので、団体での外国人研究者・学生の見学も多く、英語での説明・案内も行っています。
博物館専門の職員採用がないとのことですが、それによる業務遂行の難しさはありますか?
博物館活動には属人的な面があるので、担当者の異動や、緊急事態宣言によるボランティアの活動自粛などで、難しさは感じます。
UECコミュニケーションミュージアムのミッションやポリシーを実現するにあたり、専門職員の必要性を感じていますか?
保存管理にあたっては、古い機器の整備に長けている人、資料の収集にあたっては目利きが、次世代教育・展示公開・国際交流では、わかりやすく説明できる人が必要です。
人材マネジメントで困っていることとして、「専門知識が必要であること」とオンラインアンケート調査でご回答いただきました。これについて、もう少し詳しく教えてください。
当ミュージアムでは、電気通信の黎明期から使われてきた機器や装置・部品が展示品の中心を構成しています。その範囲も、送・受信機、レーダーなど航法機器、蓄音機、計算機などの装置・機器類から、真空管やトランジスタ・ICなどの部品類まで、広範にわたります。したがいまして、これらの装置類の修復保全を行える技術者が必要です。また、当ミュージアムでは、本学の学生のほかにも科学・技術に興味を持ちそうな市民・小中高生も見学者として想定していますので、これらの見学者に対して展示品の科学・技術的な意味を適切に、かつわかりやすく説明できる者が必要です。
インタビュアー:井上由佳