日常仮想空間の未成年者安全強化 2010年 佐々木美佳 (21歳)
自らの分身(アバター)を使って、コンピューター上でもうひとつの生活を楽しめる3D(立体)仮想空間は、米国のリンデンラボ社が2003年に開始したセカンドライフとともに有名になりました。世界90カ国以上の人々が参加しているといわれ、アカウント登録者数も2008年にすでに1400万人に上りました。日本語版サービスが開始した2007年以降、日本でもユーザーが増えていますが、米国とは異なり、コミュニケーションや社交よりも、アバターの持ち物を買うといったショッピングを楽しむユーザーが日本に多いこともアンケート調査によって知られています。
そして日本の3D仮想空間の一つに2009年に開始した「アメーバピグ」というものがあります。そのユーザー数は2009年10月の時点で140万人を突破しました。アメーバピグ内では知り合った人とスカイプで実際にはなしたり、オフ会などで会う人たちがいます。その中で未成年者が実際に会話をしたり、会ってしまう所で問題は起こらないと言い切れるのでしょうか。「セカンドライフ」では実際に会う事で誘拐事件未遂なども起こっております。他にも、小学生の子がピグでチャットしている最中、自分の住所を言ってしまいそうになり、他の人が慌てて止めに入るということもありました。
もちろん、前者の青少年専用の日常仮想空間が完全に安全だとは言えませんが、より安心して青少年ユーザーが使えるものだということは確かではないでしょうか。また成人と一緒に使う空間の場合、個人情報をむやみに知らない人に話すことの危険性をテロップで案内をするだけではなく、家族や学校などで、きちんとさまざまな危険性を伝えることも重要だと考えます。
たとえば、東京の3D仮想空間サービス「ミートミー」の会員登録ページには、キッズガイドが設けられていて、住所(じゅうしょ)やでんわばんごうなど、だいじなことを教えてはだめ!自分のIDやパスワードを他の人に教えてはだめ!人にめいわくをかけてはだめ!と目立つ注意書きがあり、ミートミーで知り合った人と勝手に会わないことなどの禁止事項がきちんと書かれ、さらにチャットをする際に中傷、猥褻発言防止として打ち込めない禁止語句があるという取り組みや未成年のサービスの提供には保護者の同意が求められています。
「アメーバピグ」でも18歳未満のユーザーに対し保護者の同意が必要と利用規約に書かれてありますが、未成年ユーザーにあてたこれらの注意書きや取り組みがされておらず、本当に規制されていのるか曖昧な部分があります。今後、増加すると思われるネット上のこうした仮想空間のユーザーに対する安全予防の法的な措置、あるいはサービス提供会社への勧告・警告がなされる必要があると考えます。