記者クラブ解放とネット社会でのメディアの対応 2010年 山下祐香理(21歳)
野党時代の民主党は、現鳩山首相を初め、小沢氏などに対して日本の閉鎖的ジャーナリズムを代表する記者クラブの解放を主張し続けてきた。政治家主導、脱官僚を掲げる新政権にとって、記者クラブの存在を今一度問い直すことは至極当然であり、その必要性を首相自身も認めている。(2009年、政治ジャーナリスト上杉隆氏の発言とそれに対する鳩山首相の発言による) しかし記者クラブは解放されぬまま代表就任会見は慣例通り開かれた。鳩山首相が公言した内容との不一致な点としては
1、記者クラブ解放に関する記述がマニフェストに記載されていない
2、実際に会見に参加・質問出来た記者は記者クラブに属する大手新聞社、通信社などで構成された
つまり民主党は「約束する」と明言したにも関わらず新内閣発足直前に前言を撤回したのである。戦争を例に出すまでもなく、政治とジャーナリズムは切っても切れない関係にある。情報公開が叫ばれる中、新政権となった今でも現状は変わらず、この事実は一部のウェブ上に記載される以外報道されていない。これは情報操作のひとつの表れではないのか。
現在でもマニフェストの変更を随時行っている鳩山政権だが、メディアに対して今後どう対応していくのであろうか。発達するウェブ上の情報網をどう扱うのか。以下より記者クラブの解放を提言したい。
記者クラブには、1、独占的に情報を得られる 2、会員制である 3、親睦を深め情報交換ができるという3つの特徴がある。表現の自由は知る自由でもあり、現在の構造は、フリーのジャーナリストや加盟企業以外の雑誌記者、または外国人ジャーナリストに対しての処遇を大変厳しいものとしている。1と2は会員以外の情報へのアクセスを著しく低下させ、3ではほぼ「談合」と言ってよい話し合いが行われているという具合だ。独占という特権が適応されている以上、表現の自由は完成しない。市民ひとりひとりがジャーナリストとなり、ウェブの自由度は上がるにつれ、同時にその危険も増していく。
仮に記者クラブが解放された際、ひとつの懸念として残るのがウェブ上のニュース配信に関してである。
■会見→受け手と送り手による情報の検討→新聞・テレビ・ウェブへという一連の流れが、■会見→受け手による情報の検討→各種メディアへというように、記者の編集スピードが試される状況になるだろう。これまでのように新聞や週刊誌が絶対的権力と支持率を持つことは今後考えられず、情報の受け手と送り手の両方がウェブのファスト化に対応せねばならないだろう。
インターネットに関する青少年を対象とした「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の問題点には1、氾濫と言ってよいほどに毎日増え続けるページに対応しきれない 2、有害サイトの判断が主観的になってしまう 3、知る権利の侵害に当たる などが主にあげられる。情報をどう扱うかは単に送り手のみの判断に委ねられるものではない。今後ネット世代となる人間に対しどれほどの判断力、対応力を付けられるかが課題であろう。
結論として、政府に各種メディアに対する管理への危機感と積極性を持って政策を進めて頂きたいと提言したい