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若者の声 政府への手紙 / Voice of the young letters to government









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企業メセナへの文化優遇税制度の導入 2010年 酒井茜 (23歳)

平成21年度(2009年)の文部科学省一般会計は5兆2,781億に対し、うち文化庁予算は1,020億円であり、これは文部科学省予算の1.9%にとどまる。文化庁予算に加え、地域振興、産業振興、国際交流、教育、福祉関係の予算も関連するため、政府における芸術文化政策は、法律規定による規制やルールづくり、資金助成、直接的な文化の提供・運営など、さまざまな形態をとるとはいえ、全体的に見て充分とはいえない。そんななか、企業による民間レベルの文化支援には今後さらに期待することができると考える。

企業がおこなっている多岐にわたる社会貢献活動の一環、メセナ活動は市民から高い期待を寄せられている。2001年度、283社によるメセナ活動費総額は175億8029万円となっており、これは一社が平均6212.1万円ということができ、メセナ活動を行う企業数は年々増加している。

たとえば、2009年にメセナ活動したのは464社に上り、8年間で企業数は約1.64倍に増えた。支援額を見てみても、464社のうち活動費に関しては408社から回答があり、総額は258億1633万円となっている。これは一社が平均6327.5万円支出したことになる。2009年度の1,020億円という文化庁予算と比較してみても、企業メセナの支援総額はその約25%の額となっており、日本の文化振興に企業のメセナ活動が大きな役割を果たしていることがわかるだろう。

1994年より、社団法人企業メセナ協議会の「助成認定制度」により、企業や個人が特定公益増進法人である協議会を通じて芸術・文化活動への寄付を行うと、「損金算入」もしくは「所得控除」することができ、支援する側の税負担が軽減されるという税制上の優遇措置があるものの、より積極的に企業のメセナ活動を支援する制度の策定を提案したい。

 

<提案>

企業の資金的支援の文化優遇税制度の導入

メセナ活動の寄付、助成やイベント・プロジェクトの主催・共催に関わる活動に対する優遇税制を導入することを提案する。金銭的な負担による継続の支障になるという事態を改善するため、税制上の免除は活動継続には必要な事項であり、また企業内でのメセナ活動の理解につがなる可能性を示唆できる。

アメリカでは個人・企業の取得の10%、ドイツでは企業純利益の5%か売上高の0.2%を、またフランスでは売上高の0.1〜0.3%の文化優遇税制が整っている。日本でも前もってこうしたパーセンテージの優遇税制を整え、具体的な方策としては企業メセナ協議会との連携し、企業の助成先に対する審査をメセナ協議会の助成認定委員会がおこなう。この方法は現在おこなわれている助成認定制度をヒントとするものだが、助成認定のための審査は今後法的位置づけなどがおこなわれることも期待できる。

 

1990年に「芸術文化振興基金」が設けられ、政府から出資された541億円と民間からの出えん金112億円の計653億円を基金の原資とし、その運用益をもって芸術文化活動に対する助成に充てているが、英国のアームスレングズの方式で、文化団体がスポンサーシップをとりつけることに成功した場合、その獲得金額と同額を政府基金から取れるというインセンティブをつけている。これをヒントに、文化団体の活動に芸術文化振興基金から直接支援するだけではなく、文化団体と企業との多様な支援関係の構築を円滑にできるようにするための方策も練るべきではないだろうか。企業、文化団体間の活動を政府が評価するという構造は、両者が経営資源的な支援関係を超えて、その他のステイクホルダーを呼び込み協力関係のネットワークを広げることに繋がる。これは企業・行政間の地域社会への貢献を可能とするからだ。

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