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studio & residence 国際芸術センター青森/Aomori Contemporary Art Center (ACAC)

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photo Aomi Okabe








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イントロダクション

ACAC館長浜田剛爾という記載を見たとき、わが目を疑った。

なぜなら、彼は長年海外でもエッジなパフォーマンス活動を手がけてきたアーティストだからだ。国際芸術センター青森というアーティスト・イン・レジデンス(滞在型)のディレクターという静的な役割、しかも公立の施設の館長職には、一見、水と油のようなそぐわなさが感じられた。

だが話をしてみて、パフォーマーであった彼ほど豊かなレジデンス経験者はいないこと、またインスタレーションが盛んになりはじめた時期のレジデンスの興隆の歴史と必要性を、彼ほど実見してきた人もいないのだということがわかった。浜田氏が青森出身であったことは、幸運な偶然といえる。

訪れたのは雪が深い1月。レジデンス期間ではなく、アーティストはいなかった。神秘的な森の野外彫刻も、雪に埋ってあまり観ることができない。ザックザックとどこが入り口なのかわからないままに、美しい雪景色のなかを歩いた。

さすがラディカルなアーティストだと思う。考え方がポジティヴで、コンセプトが新しいというだけではなく、深く先まで思考が練られている。中原祐介氏をはじめとするブレーンやスタッフの起用といった要因もあるに違いない。

印象深かったのは、ボランティアを育てて、企画を任せてもいいという発想や、いわゆるブロンズ像などのモニュメンタルな彫刻ではなく、森という環境とともに朽ちていくような作品を地元の素材をもとに作るという点だ。隣接する大学とのコラボレーション構想も、ボイスのデュッセルドルフの自由大学を思わせるトキメキに満ちている。

すぐれたアーティストは斬新で前向きなヴィジョンをもっているが、多くの場合、それを実現できる公的な職務についていることは稀である。こうした点からも、浜田氏の位置は新しい。今後もACACの展開を見守っていきたい。
(岡部あおみ)