Cultre Power
museum 東京オペラシティアートギャラリー/TOKYO OPERA CITY ART GALLERY


















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©岡部あおみ & インタヴュー参加者
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データ

東京オペラシティアートギャラリー

所在地:新宿区西新宿3-20-2 〒163-1403
Tel:03-5353-0447(直通)、03-5353-0770(代表)
Fax:03-5353-0776 
E-mail:ag-press@mbe.sphere.ne.jp
URL:http://www.operacity.jp/ag/
開館時間:12:00〜20:00(金・土は21:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:曜日(祝日の場合は翌火曜日)、展示替え期間中、年末年始、全館休館日(年2回)
入場料:[企画展]展覧会ごとに異なる(常設展入場料込)
[常設展]一般300(200)円/大学・高校生200(100)円/中学・小学生100(50)円
未就学児無料 ( )内団体料金
交通:京王新線「初台駅」東口直結
都営地下鉄大江戸線「西新宿五丁目駅」A2出口徒歩13分
新宿駅発(約10分):京王バス 宿30・40/都営バス 秋76
  渋谷駅発(約20分):京王バス 渋63・64・66/東急バス 渋61/都営バス 渋66

アートギャラリー建築概要:
東京オペラシティ街区の東南角ブロックの3,4階に位置する。吹き抜け空間であるサンクンガーデンを囲む回廊形式のギャラリー・スペース。
〇ギャラリー1 250・(7.7m×32.4m)天井高6〜11m 天井片側ハイサイドライト
〇ギャラリー2 412・(11.8m×34.9m)天井高6〜11m 天井両側ハイサイドライト
〇コリドール 90・
〇ギャラリー3(寺田ギャラリー) 135・ 天井高2.8m 片側ハイサイドライト
〇ギャラリー4(寺田ギャラリー) 214・ 天井高2.8m 人工光のみ

01●東京オペラシティについて
国際的な芸術文化、業務ビジネス、アメニティ・商業のゾーンを有する一大街区。
この開発プロジェクトは新国立劇場及び周辺の街区環境整備と空間の有効活用をめざし、特殊法人日本芸術文化振興会及び文化庁、建設省と周辺の民間地権者(日本生命保険相互会社、NTT都市開発株式会社、株式会社小田急百貨店、京王電鉄株式会社、第一生命保険相互会社、昭和シェル石油株式会社、山大鉄商株式会社、寺田小太郎、相互物産株式会社)が一体となり協議、推進してきた。
東京オペラシティの開発は、当時第二国立劇場と称していた隣の新国立劇場の建設用地が確定した段階から始まる。1965年に伝統芸能のための国立劇場を建設する計画と平行した形で西洋のパフォーミングアーツの施設計画が具体化したのが新国立劇場。
新国立劇場は建物を空中権による規定の容積までの建設予定がなく、余分の容積を特別に隣の東京オペラシティ外部の方に移管することで、東京オペラシティは通常より多くの容積を持って建設することができた。新国立劇場を建てる建設費が充分ではなく、400〜500億程の規模の資金を民間の外部側が国に支払い新国立劇場を建設することを条件に、民間側では東京オペラシティのタワーの床面積の増加で、通常の容積率での建設よりタワーのテナント料収入が多いという仕組みになっている。
このタワーのテナントの賃料で左右のコンサートホールとアートギャラリーを運営する不動産開発事業として始まっているプロジェクトである。
コンサートホール、リサイタルホール、アートギャラリーの3つの文化施設を除くタワーのオフィス部分、商業施設については9社全部が所有権を持つ。割合はそれぞれ異なり主な事業者は日本生命、NTT都市開発、小田急電鉄と、それより少し少な目に第一生命が持っていて、山大、相互、寺田、京王、昭和シェルというのは割と小さな地権
それから文化施設部分の所有は日本生命から相互物産までの6社になる。
寺田小太郎氏についてはアートギャラリーにコレクションを寄贈する形で文化施設に参加している。

・設計…3社共同
新国立劇場が国際コンペによるもので、東京都現代美術館を設計した「TAK」(建築計画研究所)柳沢孝彦の設計事務所が新国立劇場のコンペティションをとり、あわせて隣接する街区も「TAK」、NTTの設計部「NTTファシリティーズ」と街区全体の都市計画のコンサルタントをしていた「都市計画設計研究所」の3社が「東京オペラシティ設計共同企業体」を作り、そのジョイントベンチャーで設計・管理全体は進んでいった。
具体的なデザインについては「TAK」がやっていたが、その施工のジョイントベンチャーの代表が竹中工務店だった。計画時から色々な会社のコラボレートによるものだった。

オペラシティ全体の運営システムとしては新国立劇場の方と東京オペラシティ側は関係していない。
・「新国立劇場運営財団」…新国立劇場を一括して運営・管理。
・「東京オペラシティビル株式会社」…ビルのテナントの管理・レストランやショップの管理、コンサートホール・リサイタルホールの音楽事務所やオーケストラへの貸し出しの管理
・「財団法人東京オペラシティ文化財団」…年間を通し、アートギャラリーを借りている。アートギャラリーの企画制作を一括してコンサートホール・リサイタルホールの年間20本〜30本程の自主プログラムによるコンサートについては文化財団側が企画制作をしている
・「東京オペラシティアーツ株式会社」…ハード面での文化施設の維持管理・運営。   
・改装・休館中の「ICCインターコミュニケーションセンター」タワーの中のテナントの一つ。NTTの広報宣伝部分の一部分ということになっている。(対外的にアートギャラリーやコンサートホールと並んで東京オペラシティの文化施設ということで位置づけられている) ・オープン年・施設
1996年8月 業務ビジネス中心の東京オペラシティ・タワー
1997年4月 NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
東京オペラシティリサイタルホール 
      9月 東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル
      10月 新国立劇場
1999年9月9日 東京オペラシティアートギャラリー

・東京オペラシティアートギャラリーの概要・方向性
現代美術を中心としたアーティストの作品を紹介していくこと、また東京オペラシティ街区の地権者の1人である寺田小太郎氏の寄贈による「寺田コレクション」の常設展示という2つの方向性を設けている。
3F:ギャラリー1,2では現代美術を中心とした独自の企画による展覧会を行う。基本的に作品収集は行わず、現代社会の複雑な様相を反映し変化し続ける現代美術の在り方をリアルタイムに紹介していく、実験的・前衛的な展示スペースとして活動する。美術という視覚表現に留まらず、常に幅広い芸術的表現を視野に入れた活動をしてきたいと考える。新しいタイプのスペースとして位置づけ的には欧米でいうオルタナティブ・スペース、クンストハーレに近いスペースと言える。
4F:寺田ギャラリー。難波田龍起・難波田史男が核となる「寺田コレクション」で構成される展示会を順次開催していく。「寺田コレクション」の収集家である寺田小太郎氏は東京オペラシティ街区開発に唯一個人として参画され、東京オペラシティアートギャラリーのために集められたコレクションの数は現在1800点を越える。

02●「東京オペラシティアートギャラリー」 運営体制 
企画・運営  財団法人東京オペラシティ文化財団
施設維持管理 東京オペラシティアーツ株式会社
〇財団法人東京オペラシティ文化財団
民間企業6社出捐により1995年12月設立
・ 日本生命保険相互会社    ・NTT都市開発株式会社
・ 株式会社小田急百貨店    ・第一生命保険相互会社
・ 山大鉄商株式会社      ・相互物産株式会社
芸術監督・武満徹(1930‐1996)の芸術的指針に基づき、東京オペラシティコンサートホール、リサイタルホールを中心とする自主公演の企画・制作及び東京オペラシティアートギャラリーの企画・運営を行う。

〇東京オペラシティアーツ株式会社
東京オペラシティアートギャラリーのハード面の維持管理を行う。

・インターナショナル・アドバイザー
同時代の美術表現を発信・紹介するという理念に基づき、特に海外からよりタイムリーな情報を得るため、国際的な美術現場の最前線で活躍する方がアドバイザーに就任。
〇デイヴィッド・エリオット(前ストックホルム近代美術館館長、現森美術館館長)
〇ロバート・ストー(NY近代美術館 絵画彫刻部門キュレーター)
〇ジェルマン・ヴィアット(フランス国立人類・芸術・文明博物館 準備室ディレクター)
・財団への出向者
デザイナーの組織内
日本生命から理事長(非常勤)、事務局長(常勤)、事業部長(常勤)。
NTT都市開発から総務部長
以下は財団のプロパーの職員または契約社員というかたち
・学芸室
・キュレーター2名
・アシスタントキュレーター1名
・広報担当(アルバイト)1名
・アシスタント1名…計5名

年間4本の企画展は、キュレーター2名の交代で担当している。(アシスタントキュレーターと広報とカタログの編集アシスタントは毎回担当)

・予算
年間予算…1億6千万〜7千万円
収入:事業者からの協賛金(1億円)、入場料、カタログ販売、助成金
支出:オペラシティアーツ株式会社のテナント料、人件費、年間プログラミング経費
展覧会1本――カタログ販売、協賛金(1,000〜1,200万円)含め平均2,500万円  

・入場者
第1回「感覚の開放」展…約2万4500人→ 約1700〜1800万円の収入
第3回「宮島達男」展…約2万4000人
○ 予算上展覧会一本の入場料収入…1000万〜1,200万円
目標1日の入場者150人→1千万円強の収入
・入場者層(「感覚の開放」のアンケートから)
女性が74%。4分の3が女性。年齢的には30才までで大体75%。
情報ソース: テレビ、雑誌、口コミ。
会期が約2ヶ月あるため口コミの影響が後半部分に出る。
会期前半はテレビ・雑誌辺りにどれくらい出るかで入場者数が決まる。
新聞から――8%。

もらっている1円だけでやろうとするとかなり小さな規模の展覧会しかできなくなってしまう。空間のスケールが大きいのである程度のものを入れていかないとちょっと見栄えがなくなり展覧会としてのインパクトが消えてしまう。

・プレスリリース
展覧会毎に発行――大体700っている。
広報はプレスリリースを中心に展開している。積極的な広報をしていくということで、プレスリリース発行後、説明をしに行く←公立の美術館ではほとんどやらない
美術関係誌はもちろん、一般誌がほとんど。一般女性誌・ファッション誌のアート欄に重複されて掲載され、読者が複数回見ることで入場者数に違いがでる。

・学校との関わり
学校単位での来館(美大や専門学校、建築系の学部の学生)…解説の依頼など対応している。

・ボランティアについて
受付と開始を「サントリー・ファブリシティ・サービス(SPS)」というサントリー系の人材派遣会社に委託している。将来的にボランティアは考えなくもないが、ボランティアがうまく機能していくためにボランティアに来る人のモチベーションを保たなくてはならない。中途半端に始めてしまうと大変なことになってしまうので、展示の手伝いなどは基本的に有償アルバイトで行っている。

・常設展・寺田ギャラリー
「寺田コレクション」は東京オペラシティ共同事業者である寺田小太郎氏が東京オペラシティの文化事業に賛同し協力するために収集を開始し、その篤志によりアートギャラリーが収蔵するに至る。戦後国内作家を中心にコレクションは約2400彩、水彩、日本画、テンペラ、版画、素描、立体など多岐に渡る。(半分以上がペーパーワーク)

03●プロジェクトN
寺田小太郎氏が収集したコレクションのコアのアーティストである難波田龍起が96選定された文化功労者年金(翌年、没するまでの2年間)と遺族からの寄付金で開催される難波田龍起氏の遺志により若手作家の紹介を目的として行われる展覧会シリーズ。難波田龍起が平面の作家であることから、平面作家を中心とした若手作家をキュレーターとアシスタントキュレーターの3で候補を挙げ、世田谷の大島館長を理事とする寺田小太郎氏とアートギャラリー理事長を含めた選考委員会で最終的に決定する。(難波田の“N”から)

(実氏のインタヴューからのまとめ 担当:江上沙蘭)