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museum 奈義町現代美術館/Nagi Museum Of Contemporary Art


















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データ

奈義町現代美術館

●住所
〒708-1323 岡山県勝田郡奈義町豊沢441
Tel.(0868)36-5811
fax.(0868)36-5855
http://town.nagi.okayama.jp/moca/

●沿革
1988年 「書のまちづくり構想」発表。町役場、教育委員会に大学教授の助言。
1991年 磯崎新、奈義町視察
1994年 開館 

●建物
設計:磯崎新アトリエ
(藤江秀一・大野幸・福山博之・高橋邦明・Luo Ruiyang・篠原志葉)
施工:大成建設
敷地面積:7,072u
建築面積:1,545u
延床面積:1,887u
RC造およびS造・2階建。
南北軸、那岐山頂方向軸、中秋の名月方向軸の3軸に合わせて「大地」・「太陽」・「月」の展示室が配置されている。

●付帯設備
町立図書館、町民ギャラリー、喫茶室が併設。別棟にレストラン。

●方針
1960年代以降の現代美術中心。あらかじめ3人の作家(荒川修作・岡崎和郎・宮脇愛子)に作品を構想してもらい、それを建築家が空間化し、まとめる。作品は現場制作されたもので、半永久的に展示。(建築家とアーティストが共同制作した空間的作品―第三世代美術館)新しいかたちでの美術品のコレクション、展示を公共の施設として実現することに重要な意義があるとしている。又、町民ギャラリーは町民のさまざまな芸術活動の発表の場として運営され(美術館による企画)、図書館にはコミュニティーのための図書が整備。基本的にこれらの施設は町民の利用のため建設された。

●運営形態
町立美術館なので、管理・運営費は全額町が負担。初年度は7千万(作品購入等)、次の年からは3千万から4千万(人件費込み)の支出。財政的に厳しい状況。町民ギャラリーでの企画はほとんどお金をかけずに運営。

●職員
アルバイトが3人(図書館含む)、館長(教育庁兼務)と副館長、主任学芸員(県との交流事業による2年間の嘱託)は1人ずつ。学芸員が2人、美術館受付が1人。現在、計5人の職員と3人のアルバイト。副館長、学芸員ら職員はいずれも奈義町教育委員会の公務員。

●自治体との関わり
当初から町がイニシアチブをとっている。最終的な決定は町議会によって成される。オルタナティブな展示を中心とした一般的な美術館を構想していたが、岡山大学教授(太田まさかつ氏)の助言により、磯崎氏の全面的プロデュースによる現在の美術館の形態をとる。

●活動内容
町民ギャラリーでの企画が月1回の割合で行われている。貸しギャラリーにはしていない。地元作家や教育委員会関係の展示中心。美術館(常設展)の方は最低限のメンテナンスのみ。団体来館者に対する常設展のギャラリー・トーク。普及活動として小学校への出張ワークショップを週1回。観月会や音楽会の開催。

●観衆、地域コミュニティーとの関わり
建設当初は町民から猛烈な反対を受ける。現代美術を常設展示することに対しての不満が大きな理由。現在でも、地元ゆかりの作家や西洋近代美術の企画展を期待する一部地域の住民から不満の声が聞かれるが、マスコミや外部の評価もあり溝は埋まりつつあるようだ。

●問題点、今後
防犯対策について。過去4回、ロビーのガラスが故意に破損。又、屋外作品にスプレーで落書きされる等。現在は警備会社に外注し(常駐ではない)夜間は屋外に赤外線、屋内はモニター。作品の監視と鑑賞との気持ちの良い関係は現実的な問題。
館内での子供のためのワークショップは行われておらず、今後はゆったりとしたスペースを生かした普及・教育活動を展開したいとの意見。

(担当:越村直子)