Cultre Power
gallery スカイ・ザ・バスハウス/SCAI THE BATHHOUSE

スカイ・ザ・バスハウス
©photo Aomi Okabe









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©岡部あおみ & インタヴュー参加者
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イントロダクション

表参道にあった幻の東高現代美術館。地下鉄の出入口の目の前、夢のようなロケーションで菅木志雄の壮大なインスタレーションの個展などを、路上から眺められた。テンポラリーとは思えないしっかりとした建物で、さすが出資者は不動産だとへんに感心していた。白石氏がディレクションをとった展示活動も、国際的な基準からみても十分に贅沢で、あえなくバブルと消えた常設ミュージアムの夢が悲しい。

高校生まで私は谷中で過ごした。バスハウスの柏湯からは西側、芸大を護国院へと下ったところだ。東京国立博物館と動物園は、幼稚園の頃からのお気に入りだった。銭湯にもよく行ったので、アート・スペースになった谷中の銭湯に通うのは、気恥ずかしいような懐かしさがある。郷愁すらが消えてゆく東京の巷で、谷中の情緒ぐらいは残しておきたい。

ある研究者が、日本でもっともすぐれたパブリック・アートのひとつは、フランスの作家ダニエル・ビュレンの『25のポルティコ』(1995‐96)だと言った。白石氏がお台場で手がけた作品で、ストライプのカラフルな門が鳥居のように海へとくだってゆく。象徴的で、論理的で、美しいトポグラフィーともなっているパブリック・アートの例だと、私も同感する。
(岡部あおみ)