Pyrops candelaria(テングビワハゴロモ)は東南アジアに分布する昆虫で、セミの近縁種である。テングビワハゴロモと一言で言っても、形状や角・羽の色で細かく種が分かれており、その数は60種にも及ぶ。このサイトで扱う三頭の標本の名称はPyrops candelaria(Pyrops属の基準種)となっているが、実際はそれぞれ種が異なる。図鑑や文献が非常に少なく、正確に種を同定することは困難。

テングビワハゴロモの名前に付いた「テング」というのは、細長く伸びた角が由来している。頭の根元から先端にかけて緩くカーブがかかった形状で、質感は木の枝のように少し凸凹としている。角の用途は不明で、夜になると光るという噂からlantern fly(提灯虫)という名前でも呼ばれているが、実際に光ることはない。種によって角の形状や色が異なり、赤い角はPyrops Candelaria、黒い角はPyrops spinoolae、緑の角はPyrops viridirostrisというように見分けることが可能。

テングビワハゴロモの羽は色彩や模様が非常にユニークで、前翅と後翅で色が異なる種も存在する。写真の三頭は色彩で見れば特別鮮やかというわけではないが、非常に力強い存在感を放っている。羽だけ見れば蝶とよく似ているが、角と羽の色の組み合わせを見て楽しめるのはテングビワハゴロモならではだろう。