武蔵野美術大学 芸術文化学科


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mass pazzle
西野あや子  

私は、自分の考えや思いを、言葉にして伝えることが苦手だった.大学入学直後、その機会は増え、「コミュニケーション」に対する不安や混乱、「言葉にする」難しさをより強く感じるようになった.

頭の中では、考えたこと、思ったことは、一つのかたまりとしてしっかり存在しているのに、口で言ったり字に書いたりすると、それは全くの別物になっていたりする.
一言、一文字でも欠ければ、伝わらない.間違えて並べれば、違う意味になってしまう.
私の言葉のジグソーは、いつも何ピースか欠けたまま、散らかっていた.

1つのピースの中に、考えたこと、思ったことの全てが埋め込めれば、欠けることも、並べ方を間違えることもなくなる.そうすれば、自分の考えや思いを頭の中にあるかたまりのまま伝えることができると思った.
私はそれを試すように、四角いマスを1つのピースとし、既存の言葉を文字にして入れていった.そして、文字の中に文字を見つけては、色や形を加え、絵を加えることで、その言葉に対する私の見方や解釈を埋め込み、いくつも作った.
出来上がった複数のピースは、1つ1つが私の考えたこと、思ったことのかたまりとして、1ピースだけでも伝えることのできる言葉となった.
しかし、それはパズルのように繋げることで、私の想像していなかった新しい関係を見出し、いくつもの物語を展開していく.その様子は、大きなかたまりの中で、絶えず動き変化していく、人間のコミュニケーションそのものと重なった.

気づいたことは、
私は、「言葉にする」という難問を1つ1つ解きながら、
「コミュニケーション」に潜在している複数の視点に立っていたということだった.
それは、過去でも未来でもない、今、この瞬間をわたしとあなたが共有していたという記憶の形になるのではないだろうか。
それに気づけただけで、良かったと思う.そして何より、楽しかった.