学生がコレクション展を鑑賞している様子
2019年、撮影:川瀬一絵

研究概要Research Outline

Outline

「大学博物館」における、ミッション・ビジョンを達成するための「人材マネジメント」のあり方を調査、分析、検証する基礎的研究

Basic research and analysis on how ‘human resource man­age­ment’ actualize the mission and the vision of the ‘uni­ver­sity museums’.

背景Research Background

高等教育機関である大学において、その歴史や専門性に関わる多様なモノを収集、保管、研究、活用する機関である大学博物館は、設置者である大学のステークホルダーである学生、教職員、さらには卒業生、保護者のための教育機関として機能してきた。21世紀の大学博物館は、そのような学内的機能に加え、地域、社会とつながり、生涯学習を支える知的・文化的ハブとして機能する可能性を秘め、そこに期待される社会的役割は大きい。

このような役割、可能性をもった大学博物館が、安定的、永続的にミッションを果たしていくためには、その活動を支える人材の適切なマネジメントが欠くことできない重要な要素であると考えられる。しかしながら、大学博物館において、人材マネジメントが十全に行われているかを検証する研究はこれまであまり行われてこなかった。

Uni­ver­sity museums have func­tioned as an educational facility for their stakeholders such as the students, faculty members, the graduates, and the parents, through collecting, preserving, studying various objects that are related to the histories and specialized fields of each uni­ver­sity. In addi­tion to these internal func­tions, the uni­ver­sity museums in the 21st century have potential in func­tioning as an intellectual and cul­tural hub that supports lifelong learning of the local community and the soci­ety. Nonetheless, their expected social roles are significant.

In order to accomplish the missions of the uni­ver­sity museums in a stable and sustainable manner, an appro­pri­ate man­age­ment for human resources are crucial and essential. How­ever, it is scarce to find researches of Human Resource Man­age­ment (hereinafter HRM) of the uni­ver­sity museums in Japan today.

研究の目的Purpose of Research

本研究では、大学博物館におけるミッションの設定と、人材がどのような形態で雇用され、マネジメントされているかを調査・分析し、現状を把握することを通して、大学博物館における人材マネジメントに資する基礎的データを提供し、ミッション遂行に十分な人材マネジメントが行われているかを考察することを目的とする。

The objectives of this research are; to research and analyze the missions of the uni­ver­sity museums and how human resources are hired and managed, and to provide basic data that contributes to HRM by grasping the present circumstances, and to consider whether or not cur­rent HRM is sufficient for mission accomplishment.

内容と方法Contents and Methodology

研究期間が完全にコロナ禍と重なったことから、オンラインをフルに活用して研究を実施した。メンバー間のディスカッションは、初回のミーティングを除き、全てZoomを活用したオンラインミーティングで実施した。また、基本となるデータは大学博物館のウェブサイト、およびGoogleフォームを使ったオンラインアンケートで収集し、そこから3つの館に対して、対面、オンライン、メールでインタビューを行った。

Since the research period com­pletely overlapped with Covid-19 pandemic, we made full use of online research resources. All dis­cussions among members were conducted online by using Zoom, except for the first meeting. We collected basic data from the websites of the uni­ver­sity museums and through online ques­tionnaire by Google Forms, and interviewed three of them respectively face-to-face, online, and by email.


1

ウェブサイト調査Website Research

今回の研究を始めるにあたって、大学博物館を網羅するリストがなかったことからi、大学受験サイトを基に、都内に法人がある189の大学・短期大学が設置する107の大学博物館をリストアップし、それぞれの館が運営しているウェブサイトの掲載情報から、次の項目を調査した。

We listed 107 uni­ver­sity museums established by 189 uni­ver­sity and junior college corporations based in Tokyo by referencing an entrance examination website as there was no com­plete list of uni­ver­sity museumsi available. We conducted research on the 107 uni­ver­sity museums’ websites and checked the following items.

i日本博物館協会のウェブサイトは加盟館のみが掲載され、大学博物館は一部のみ掲載されている。また、伊能秀明監修『大学博物館事典』(日外アソシエーツ, 2007年)には162館が収録されているものの、アンケート調査に回答した館のみであり、全ての大学博物館は掲載されていない。

iThe list provided on the website of the Japanese Association of Museums only include affiliated uni­ver­sity museums. A uni­ver­sity museum encyclopedia “Daigaku Hakubutsukan Jiten” supervised by IYOKU Hideaki con­tains 162 uni­ver­sity museum that only responded to the ques­tionnaire survey, not all of them.

調査項目Research Items

  • 基本情報(所在地、連絡先、休館日、入館料)
  • 館の概要・沿革、ミッション・ポリシー
  • 所蔵品、常設・企画展示
  • 授業連携や博物館実習を含む教育活動
  • 地域連携、館長を含む組織体制と待遇についての情報

Basic information (location, contacts, closed days, admission fees), history, mission, policy, collection, permanent and special exhibitions, educational programs including collaboration with university lectures and museum practice programs, activities with local communities, organization structure and treatment.

ウェブサイト調査結果の考察

まず、今回の調査で、107館中、78館(73%)がウェブサイトにミッションを掲載しており、館のミッションと収集、展示、教育活動が密接に関わることが読み取れた。

また、「博物館実習を実施している」と明示している館は41館(38%)、内26館が他大学からの実習生も受け入れていた。また、「授業連携を実施している」と明示している館は26館(24%)であった。学生やボランティアスタッフと共に展覧会を作る、収蔵資料を授業で公開するなど、連携の内容は館により幅があった。なお、人手不足などにより、博物館実習や授業連携を行なっていることをウェブサイトに掲載していない可能性があるため、29館の他にも博物館実習や授業連携を実施している館がある可能性がある。

公開という点においては、休日に開館する館が少ないという現状が明らかになった。また、基本は非公開、希望があった時のみ開放するという館も散見された。これは大学博物館が学内利用を前提としていること、さらには休日に開館することで、警備やスタッフの出勤体系に問題が起こる可能性があることと関係していると推測された。大学博物館を地域社会の資源とするには、休日開館を可能にする人材マネジメントを考える必要があるであろう。

また、大学公式ウェブサイトのトップページから大学博物館のウェブサイトにリンクが張られている館は48館(45%)で、半数を超える大学では大学博物館の情報が見つけにくい状況となっていた。大学博物館が、博物館としての機能を果たす資源であり、学内外に大学の理念を伝える有用なメディアであることを、大学法人が認識できていない可能性が窺えた。

調査館名リスト


2

オンラインアンケート調査On-line Questionnaire Survey

ウェブサイト調査からは、館のスタッフ数や雇用状況などといった人材マネジメントに関する内部情報を取得することができなかった。そのため、館のスタッフについてより詳細な情報を入手するために、オンラインアンケートを作成し、ウェブ調査でリストアップをした107館にメールで送付し、その結果、26館(24%)から回答を得た。

また、このアンケートでは、ウェブサイトからもある程度情報を得ることができた項目についても、より詳細な内容を知るために質問に加えた。

From our website survey, we found that infor­ma­tion about Human Resource Man­age­ment (HRM) of uni­ver­sity museums, such as the number of staff and employment situation were not available on websites. Therefore, we conducted an online ques­tionnaire to obtain more details. We contacted 107 uni­ver­sity museums listed from our website research, consequently received answers from 26 museums (24%).

We added some new items to this ques­tionnaire in order to understand the situation of HRM in each museum.

質問内容Questionnaire Items

  • 館のスタッフ
    • 人数
    • 性別
    • 業務形態(正規、契約・嘱託、派遣、パート・アルバイト、インターン、ボランティア)
  • その他
    • 博物館の種類
    • 館長名と所属
    • コレクション、常設・企画展示
    • ミッション・ポリシー
    • 教育普及活動
    • 博物館実習
    • 地域連携
  • Museum staff
    • number of staff
    • gender
    • type of employment (full-time employment, contract employment, dispatched, part-time employment, internship, volunteer)
  • Others
    • category of museum
    • name of director and his/her affiliation
    • collection
    • permanent and special exhibitions
    • mission, policy
    • education and public program
    • museum practice programs
    • activities with local communities

ウェブサイトで回答結果を公開可能と回答した館は13館であった。アンケート回答館の半数(50%)だったが、調査対象とした107館の約1割(12%)であったため、本結果が大学博物館の実態を表すとは言えない結果となった。

Among the 26 museums, half of them, 13 university museums allow us to disclose their answers on this website. As this is only 11% of the total number of university museums we researched the websites, this result might not necessarily represent the actual situation.

13公開
可能
13公開
不可
81未回答
調査対象:107館

PDF アンケート内容

オンラインアンケート調査結果の考察

本研究は、昨今各所で見聞きする非正規雇用問題が、大学博物館の人材マネジメントにおいてはどのような状況にあるかを分析することを一つの目標としていたが、大学博物館における人材マネジメントの実情、いわばその「リアルな姿」は、公式ウェブサイトに掲載されている情報だけからは分からない。リアルな姿を知るには、勤務する職員数のみならず、雇用形態にまで踏み込んで調査をする必要があると考え、オンライン・アンケート調査を2021年7月に実施した。

ウェブサイト調査にて明らかとなった、東京都内に本拠地を置く大学法人によって設置された大学博物館107館(植物園、資料館等も含む)にオンライン・アンケート調査を依頼し、26の大学博物館より回答を得ることができた。ここではそのデータを元に、主に職員数に関する分析結果を述べたい。

最初に職員数の分析をする。大学博物館に勤務する人材(非正規雇用の職員、ボランティアを含む)の最大値は28名(内20名が大学の卒業生を中心とするボランティア)で、最小値は1名であり、正規職員のみの人数で見ると、最大値は9名であった。

回答のあった26館の職員202名のうち正規職員は52名(25%)であった。この結果から75%が嘱託職員やパート・アルバイトといった非正規職員であることが明らかとなった。今回は、雇用形態ごとにどの業務を担当しているのかは確認することはできなかったため、将来的にはこの点も調査する必要があるだろう。なお、職員全体の男女比は、性別について記入のあった169名のうち女性83名、男性86名とほぼ半々であることがわかった。

52名正規社員150名非正規職員
26館の職員202名
83名女性86名男性
職員全体の男女比

次に、職員数と各館の博物館実習や教育普及プログラム実施状況との相関関係を見ていきたい。

私たちは今回の調査を実施するにあたり、職員数、とりわけ正規職員の人数によって、館の活動内容が左右されるのではないかという仮説を立てた。すなわち、職員数の少ない館では取り組める事業が限られてしまい、展示以外の活動となる博物館実習の受け入れや学内・地域向けの教育普及プログラムの実施までは難しいのではないかと考えた。先に挙げた正規職員9名を擁する大学博物館は、総職員数が19名であった(ボランティアは含まず)。この館は充実した収蔵資料を生かした常設展示と定期的に企画展示も開催しているが、地域連携にも力を入れて、多彩なプログラムを運営していることがわかった。一方、職員数が1名もしくは2名と回答した館では、博物館実習や教育普及プログラムが実施されていない実態も今回の調査で明らかとなった。このことから、充実した活動を継続的に運営していくためには、職員数と適正な人材の配置という人材マネジメントが重要なファクターであることが示唆された。

今回は回答数が少なかったため、結果を即座に一般化することはできないが、今後はさらに調査対象の幅を広げ、今回の結果を再検証し、人材マネジメントの実態を明らかにしていきたい。

回答が公開可能な館University museums which allow the disclosure of answers

  • 順天堂大学・日本医学教育歴史館
  • 女子美術大学・女子美アートミュージアム
  • 多摩美術大学美術館
  • 電気通信大学・UECコミュニケーションミュージアム
  • 東海大学・松前記念館(歴史と未来の博物館)
  • 東京家政学院大学・東京家政学院生活文化博物館
  • 東京理科大学近代科学資料館/なるほど科学体験館
  • 東邦大学・額田記念東邦大学資料室
  • 東邦大学薬学部付属薬用植物園
  • 東洋学園大学・東洋学園史料室
  • 日本歯科大学・医の博物館
  • 國學院大學博物館
  • 日本赤十字看護大学史料室

50音順

  • Japanese Red Cross College of Nursing
  • Joshibi University of Art and Design Joshibi Art Museum
  • Juntendo University Japan Medical Education History Museum
  • Kokugakuin University Museum
  • Tokyo University of Science Museum of Science and MathSci Experience Center
  • The Nippon Dental University The Museum of Medicine and Dentistry
  • Tama Art University Museum
  • Toho University Nukata Memorial University Archives and Toho University Department of Pharmacy affiliated Medicinal Botanical Garden
  • Tokai University Matsumae Commemoration Hall
  • Tokyo Kasei Gakuin University The Museum of Daily Life Tokyo Kasei Gakuin
  • Toyo Gakuen University Toyo Gakuen Archives
  • The University of Electro-Communications UEC Museum of Communications

alphabetical order, names are translated into English by authors

Download アンケート結果(CSV)


3

インタビュー調査Interview Survey

オンラインアンケート調査に回答した26館の中、回答データを公開可能とした13館の中から、データを見た上でさらにその実情について詳細な情報を得ることができると思われた館を選び、インタビュー調査を実施した。多様な回答を得るため、オンラインアンケートの回答の内容が他館と異なる特徴を示していた館から、大学の運営母体(国公立・私立)や規模、学部構成などを考慮し、以下の3館を選択した。

インタビュー調査の時期が、コロナ感染拡大防止に伴う緊急事態宣言が発令されている時期と重なったため、対面、オンライン、メールと、3館それぞれに異なる形式でインタビューを実施した。また、本来であれば、調査対象としている大学博物館を訪れ、展示などを実際に視察した上でインタビューをすることが望ましいが、今回は、上述の事情により学外者立入禁止などの措置が取られていたため、訪問・視察が叶わなかった。

このような特殊な状況下で実施されたインタビューとなったが、人材マネジメントの現場を知る職員の方々の生の声を聞き、データのやりとりだけでは知り得なかった詳細な内容をくみ取ることができたのは、大きな成果であった。

We conducted interviews to 3 uni­ver­sity museums about their actual situation out of 13 uni­ver­sity museums which allowed us to disclose their answers, among 26 respondents of the online ques­tionnaire survey. The three uni­ver­sity museums were chosen by the types of parent organization of the uni­ver­sity (national, public or private) , the scale and the composi­tion of the departments from those we found different from other respondents in online ques­tionnaire survey.

We wished to visit and see the exhi­bi­tions and the sites before conducting the interview. How­ever, we could only interview them in each possible way such as face-to-face, online and email since the time of the interview survey overlapped with the time when the state of emergency was issued to prevent the spread of Covid-19 and the universities were off-limits to visitors.

Although the interviews were conducted under dif­fi­cult times, it was a good achieve­ment to listen to the real voices of the staff who know the HRM at their sites and grasp the details that have not been available through online research.


3-1

女子美術大学美術館Joshibi University of Art and Design Art Museum

日時2021年8月25日[水]10:00–11:30
方法女子美術大学美術館での対面インタビュー
インタビュイー川上勇氏
インタビュアー藤田百合

女子美術大学美術館には正規採用の学芸員がいない。学芸員を任期付きで雇用することで、コレクションに関する蓄積された研究成果を引き継ぐことが極めて難しいだけでなく、長期的な見通しをもって展覧会企画を行えないことから、美術館運営に如実に弊害が現れることが分かった。こうした経緯から、これまで2度にわたり、学芸員の正規雇用を試みていたことがインタビューから明らかとなった。

また、学芸員だけでなく、事務職員も定期的に異動することにより、共通理解の形成や運営状況・経過の引き継ぎが行われにくい。人材不足ではないものの、人材の継続的な確保が大きな課題として存在していることがわかった。

オンラインアンケート調査から、学芸員か事務職員かなど、回答者の組織内での立場によって、回答結果に差が出ることが読み取れたが、今回はインタビュアーとなった研究メンバーの藤田が女子美術大学美術館に所属し、学芸員業務を担当しているからこそ、詳細なインタビュー内容を得ることができた。

Time and DateWednesday, August 25th, 2021 10:00–11:30am
MethodFace-to-face interview at Joshibi University of Art and Design Art Museum
IntervieweeKAWAKAMI Isamu
InterviewerFUJITA Yuri

There are no full-time cura­tors employed at Joshibi Uni­ver­sity of Art and Design Art Museum. Hir­ing cura­tors as fixed-term employee cause apparent negative effect on museum operation because of dif­fi­culty not only in handing over of accu­mu­lated findings of the collection but also in long-term planning of exhi­bi­tions. For these reasons, this museum tried to hire full-time cura­tors twice before in the past.

In addi­tion to the cura­tors, routine rotation of the office workers makes the development of common understanding and handover of man­age­ment situation and process dif­fi­cult. It became evident that they are not facing a shortage of human resources but continuous securing of human resources is a major issue.

From the online ques­tionnaire survey, the answers seemed different depending on the answerers’ posi­tion in their organization (cura­tor or office worker). Thanks to interviewer Fujita, who is a member of this research and working at this Museum as a cura­tor, we could bring detail to light from this interview.

Interview 女子美術大学美術館


3-2

東京理科大学近代科学資料館なるほど科学体験館Museum of Science, TUS, MathSci Experience Center, TUS

日時2021年8月31日[火]14:00–16:00
方法Zoomでのオンラインインタビュー
インタビュイー大石和江氏
インタビュアー井上由佳、杉浦幸子

東京理科大学には、神楽坂キャンパスにある近代科学資料館、数学体験館、野田キャンパスにあるなるほど科学体験館、理科大サイエンス道場という、大学博物館と呼びうる施設が4つある。大石氏はこの中で、近代科学資料館となるほど科学体験館を主に担当し、現在は後者を中心に、計算機コレクションの研究・保存や展示活動を行いながら、科学の世界を社会に伝えていくための事業に取り組んでいる。

職員は3名体制であるが、鍵となるのが現役の学生スタッフの参画である。近代科学資料館では3名の学生が「学生スタッフ」として雇用、配置され、解説などを行い、なるほど科学体験館では「インストラクター」として10名の学生スタッフを養成し、展示解説をはじめ様々なプロジェクトに関与している。学生が接遇、解説、調査を担う能力を現場で養うための取り組み、展示の企画や計算機コレクションの保存管理など運営業務は多岐にわたることがわかった。

課題としては、職員及び学生スタッフの後任への引継ぎと育成であるという。担当職員数が限られている中で、年度で入れ替わる学生を有力な人材として育成し、科学館の現場で活躍してもらうという体制を継続させるには、人材マネジメントに長期的なスパンで取り組む必要があり、一朝一夕では成り立たないことを改めて認識させられた。

Time and DateTuesday, August 31st, 2021 2:00–4:00pm
MethodOnline interview by Zoom
IntervieweeOISHI Kazue
Interviewer INOUE Yuka, SUGIURA Sachiko

At Tokyo Uni­ver­sity of Science(TUS), there are 4 uni­ver­sity museums, Museum of Science, TUS at Kagurazaka Campus, Mathematical Experience Plaza, MathSci Experience Center, TUS at Noda Campus, and The Science Dojo. Ms. Oishi is mainly in charge of Museum of Science and MathSci Experience Center and cur­rently working on a project to convey the world of science to soci­ety through study, preservation and exhi­bi­tion of the collection of calculators.

There are three staff in their museum, but the key is the participation of the students. Three students are hired and assigned to provide explanations as “student staff” at Museum of Science, 10 student staff are trained as “instructor” and involved in various projects including exhi­bi­tion explanation at MathSci Experience Center. It was found that the man­age­ment task is wide-ranging such as cultivating students’ ability to serve and communicate with the visitors, to research, and planning exhi­bi­tions and preserving the collection of calculators.

Ms. Oishi told us that the chal­lenge is the handover from staff and student staff to their successor and their cultivation. It is necessary to address HRM over the long term in order to continue the system of training students (that change every year) to become excellent interpreters and have them work at science museums.

Interview 東京理科大学近代科学資料館/なるほど科学体験館


3-3

電気通信大学UECコミュニケーションミュージアムThe University of Electro-Communications (UEC) Museum of Communications

方法メールでのインタビュー

オンラインアンケート調査の回答で、この館のスタッフ数が調査結果の中で最も多い28人であった。内訳を尋ねたところ、8名が正規職員で、その内ミュージアム担当職員が2名、残りの20名はボランティアスタッフであった。

ボランティアスタッフは、学長から公式に委嘱を受けた、卒業生や通信分野の技術者から構成され、収蔵資料である電気・通信・放送関連の機械類などの調査研究や案内、展示の整理、収蔵を主に担当している。

電気通信技術史の黎明期からその発展過程の全てをカバーするには、幅広い人材の確保が必要であるが、専門的なボランティアを活用した現在の人材マネジメントシステムが上手く機能し、博物館活動が行われていることが明らかとなった。しかしながら、資料の修復保存の技術を持つ人材の継続的な確保や、教育普及活動を担う人材の育成などが課題として残っていることがわかった。

MethodInterview by emailm

UEC Museum of Com­mu­ni­ca­tions responded that they have 28 staff in the online ques­tionnaire survey. It was the largest number among the survey results. Therefore, we asked them its breakdown, eight were full-time employees and two of them were in charge of the museum, the rest 20 were volunteers.

Volunteer staff consists of graduates and engineers from telecom­mu­ni­ca­tion field officially entrusted by the uni­ver­sity president, and mainly responsible for research and study, visitor guidance of preserved materials such as electrical, telecom­mu­ni­ca­tions, broadcasting-related machinery, and organizing and preserving exhibits.

It is necessary to secure a wide range of human resources to cover the entire development process from its dawn of the history of telecom­mu­ni­ca­tions technology, it became clear that their cur­rent human resource man­age­ment system, involving professional volunteers is successfully func­tioning and the museum activ­i­ties have been carried out. How­ever, we also found that the continuous securing of human resources with the skill of preservation and restoration of materials and the development of human resources in charge of education and public pro­grams still remain as issues to overcome.

Interview 電気通信大学UECコミュニケーションミュージアム

Profiles

研究者プロフィール

杉浦幸子

杉浦幸子

SUGIURA Sachiko

  • 研究代表者
  • 武蔵野美術大学 芸術文化学科 教授
  • Principal researcher
  • Professor of Department of Arts Policy and Management, Musashino Art University

1966年東京生まれ。1990年お茶の水女子大学文教育学部哲学科美学美術史専攻卒業。1995年ウェールズ大学大学院教育学部修了(MEd)。2001年「横浜トリエンナーレ2001」教育プログラム担当。2002–04年森美術館パブリックプログラムキュレーター。2005–12年京都造形芸術大学プログラムコーディネーター。2012年武蔵野美術大学芸術文化学科准教授。2014年より現職。専門:美術館教育学、鑑賞教育学、アートプロデュース・マネジメント、プロジェクトデザイン・マネジメント。共著『ミュージアムの展開:経営論、資料論』(武蔵野美術大学出版局、2016年)など。NPO法人芸術資源開発機構理事、川崎市岡本太郎美術館施設部会委員など。

Sachiko Sugiura was born in Tokyo in 1966 and graduated from the Ochanomizu Uni­ver­sity in 1990. She finished the master’s degree in the Wales Uni­ver­sity College of Cardiff in 1995 in the major of gal­lery education. Since then, she has been working as a gal­lery educator/cura­tor, being appointed as the Educational Pro­gram Coordinator in the 1st Yokohama Triennale in 2001, then, as the Public Pro­gram Cura­tor in the Mori Art Museum in 2002–2004.She moved to Kyoto Uni­ver­sity of Art and Design where she worked as an art project coordinator of the ART­ISTS SUMMIT KYOTO as well as a group leader of the International Affairs Section in 2005–2012. She has been teaching at the Department of Arts Policy and Man­age­ment, the Musashino Art Uni­ver­sity as an associate professor (2012–2014) and a professor (2014-the present).

http://apm.musabi.ac.jp/about/faculty/sugiura/


井上由佳

井上由佳

INOUE Yuka

  • 研究分担者
  • 明治大学 文学部 専任准教授
  • Co-researcher
  • Associate Professor of School of Arts and Letters, Meiji University

1976年東京生まれ。1999年慶應義塾大学 総合政策学部 総合政策学科卒業。2000年ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ・教育学修士課程修了(MA in Education)。2005年Institute of Education(現IOE-UCL), University of London博士課程修了(Ph.D in Education, ロンドン大学)専門:博物館・美術館教育、ミュージアムのための人材育成、英国における教育、国際理解教育。2005年-08年国立歴史民俗博物館研究支援推進員。2008年-19年文教大学 国際学部 国際観光学科専任講師(2008–2017年)・准教授(2017–2019年)。2019年より現職。主な著書『今、ミュージアムにできること』(学術研究出版、2019年)など。

Yuka Inoue received her PhD in education from the Institute of Education, Uni­ver­sity of London(now UCL-IOE)in 2005. Her research interest is in museum education for international understanding, evaluation of visitors’ learning, training for museum personnel. Her cur­rent interest is in how international policy on museums (such as UNESCO Recommendations) have influenced Japanese museums since 1960’s. She worked at the National Museum of Japanese History from 2005 to 2008, and taught as a Lecturer (2008–2017) and Associate Professor (2017–2019) at Faculty of International Stud­ies, Bunkyo Uni­ver­sity. She is now an Associate Professor at School or Arts and Letters, Meiji Uni­ver­sity, Japan where she mainly teaches museology, museum education and co-ordinates the gakugei-in (cura­tor in Japanese context) qualification pro­gram.

https://www.meiji.ac.jp/bungaku/teachingstaff/teacher_a/inoue_yuka.html


藤田百合

藤田百合

FUJITA Yuri

  • 研究分担者
  • 女子美術大学 特命助教
  • 女子美術大学美術館 学芸員
  • Co-researcher:
  • Joshibi University of Art and Design Art Museum Curator

1976年東京生まれ。2004年 女子美術大学大学院 美術研究科 修士課程 美術専攻 美術史研究領域(現:大学院 美術研究科 修士課程 芸術文化専攻)修了。女子美術大学美術館非常勤学芸員および東京国立近代美術館教育普及室の研究補佐員を経て、2018年より現職。専門:博物館・美術館教育。展示作品と子どもをつなぐツール(鑑賞教材)を数多く制作。各地の美術館を中心にワークショップを企画実施。共著『絵本ワークショップ』(朝倉書店、2015年)

Born in 1976 in Tokyo, she graduated from Joshibi Uni­ver­sity of Art and Design in 2004 with a Master’s degree in Art History (cur­rently, Master’s degree in Art and Design). After working as a part-time cura­tor at Joshibi Uni­ver­sity of Art and Design and as a research assistant at the Office of Education and Outreach, The National Museum of Mod­ern Art, Tokyo, she assumed her cur­rent posi­tion in 2018. Specializes in museum and art museum education. She has created many tools (educational materials) that connect children with the art­works on display. She has planned and conducted workshops mainly at museums in various regions. Co-author of "Picture Book Workshop" (Asakura Shoten, 2015)

https://www.joshibi.ac.jp/teachers/656

https://www.joshibi.net/museum/jam/

研究協力者

  • ウェブサイト熊谷篤史
  • 翻訳中村杏里
  • データ整理・インタビュー文字起こし石崎美智
  • Web siteKUMAGAI Atsushi
  • TranslationNAKAMURA Anri
  • Data organization/transcription of interviewsISHIZAKI Misato
  • 本研究は、全国大学博物館学講座協議会東日本部会 令和2年度研究助成を受けて進められたものである。
  • This research received 2020 Research Grant of Higashi Ninonbukai, National Association of Universities Teaching Museum Stud­ies, Japan
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Inquiries

universitymuseum.research@gmail.com

  • 研究代表者:武蔵野美術大学 造形学部 芸術文化学科 杉浦幸子
  • 研究分担者:明治大学 文学部 井上由佳
  • 研究分担者:女子美術大学 女子美術大学美術館 藤田百合
  • Principal Researcher: SUGIURA Sachiko, Department of Arts Policy and Management, Musashino Art University
  • Co-researcher: INOUE Yuka, School of Arts and Letters, Meiji University
  • Co-researcher: FUJITA Yuri, Joshibi University of Art and Design Art Museum Curator