武蔵野美術大学 芸術文化学科

NOKISITA-GEKIJOU project ’06

授業紹介1
メディアプランニングB

メディアプランニングBスペース・プランニングとは?
劇場のデザインを担当したのは、3年生のメディアプランニングBスペース・プランニングを履修している学生達。 彼らは楫義明教授が教鞭を取るこの授業で、空間におけるエンターテイメント性について、分析・研究をしている。 劇場のデザインをするにあたって、内装デザイン班と外装デザイン班の2グループに分かれてデザインを施し、施工作業にも参加した。

 代表者インタビュー
 メディアプランニングB/スペース

主に外壁装飾を担当し、府中アーツとの橋渡しや設営作業の貴重な男手としても活躍された三年のTさんにお話をうかがいました。軒下劇場への情熱は人一倍であった彼の考えとコダワリとは— インタビュアー:長/編集:中西
episode1 カリキュラムが変わった

長:メディアプランニングBスペースではカリキュラム上、本当は劇場を作る予定では無かったようですね。
T:正規の授業をちょっと休んで、劇場作りのための授業になりました。劇場作りでできなかった分の補講が7月の最後の週にあって、それで正規の分の授業を埋め合わせすることになっています。カリキュラム上の本来の授業というのが、実はまだよくわからないんです。最初の授業の時に、「劇場を作る企画があるけどどうする?」って楫先生に投げかけられて、「やってみたい!」と言ったら、授業内容はほぼ全部劇場関係に変わってしまって驚きました。でも、劇場を作っていた期間はすごく充実していましたよ。

episode2 とにかく装飾をしてみたかった

長:壁面に使われていたベニヤ板は、木目を生かすために使われたのでしょうか?ベニヤが無塗装だったので、木目そのものを出そうとしていたのだろう、と考えたのですが。
T:全面に壁を作るときに便利だと思って使用することなったんです。強度があって音を遮断できる素材が条件だったので。意図があったというより、メンバー全員が、ベニヤが一番素材として適していると意識していたようなので、それにしました。実は、壁のデザインが少し心残りなんです。僕は外壁のデザインを担当していて、ベニヤの表面に色を塗ったりだとか、模様をつけるだとか、とにかく装飾がしてみたかった。でも、実際に作業をしてみると構造や強度について考えることが重要だったので、その部分で手間がかかってしまい、ほぼ無装飾のまま終わってしまいました。実際デザインしたものをうまく現場に落としこめませんでした。色々アイデアはあったのですが、僕の力の無さと、時間の問題で装飾まで手が回らなかったのが残念です。劇のテーマが時間や少年時代とか記憶に関わるものだったので、そこから僕は迷路をイメージしたんです。迷路のようなジグザグをモチーフにして装飾をしてみたかったですね。

長:スタイリッシュとか、シンプルな劇場を最初から目指したわけではなかったんですね?
T:そうですね。完成した劇場を見た方たちはそう捉えたかもしれないのですが、狙ってることと、やれたことは違いましたね。あれではただ造っただけだと僕は考えています。精一杯はやったんですけどね。劇場に来ていただいた方のアンケートに書いてあったのですが、美大生の劇ならもっと破天荒なものでもいいんじゃないのか、という意見もあったので。確かにそうだと思いました。どうせやるなら、担当だったというのもあるし、もっとやり込みたかったなと。まだまだ素直に喜べないですね。 今度自分のデザインしたものを実際に作るときにはやらなくてはいけないことと、やりたいことのバランスをとって仕事したいです。

長:デザインの段階で楫先生と厳しいやりとりがあったようですが。
T:しっかりとした劇場を作るからにはきっと、楫先生の中でもこんな劇場にしたいという考えがあったんだと思います。先生は牧草を使って劇場の周りに緑が広がってるようにしたかったらしいです。牧草を一面に敷くなんてすごい話ですよね。でも、僕はそれが好きじゃなかった。というよりは、自分の考えていたことをやり通したかったのですが…ちょっと無理でしたね。実際にやってみないと気づかないこと、知らないことが多すぎて…。現場に落とし込むということがどれほど大変なのかわかりました。