武蔵野美術大学 芸術文化学科

arts project

神山アーツプロジェクト

徳島県神山町にある中学校(現在休校中)で行うワークショップに向けて、企画・運営を行うプロジェクトです。 この試みは、カミヤマート(神山+アート)と名付けられ、徳島県がすすめる長期計画「徳島国際文化村形成プロジェクト」をきっかけにスタートしました。 「芸術を社会の中に根付かせていくための実践的な地域活動への参加」という芸術文化学科の理念とが一致し、地域住民と大学が一体となって実現しました。 毎年春に、学生メンバーを募集し、地元の実行委員会の方々と連携しながら、夏期休暇に行う本番に向けて、一から企画をたてていきます。 ワークショップ当日、学生たちは、神山の方々のお宅へ民泊させていただき、家族の一員のように迎えていただきます。 芸術文化学科設立当初からスタートしたプロジェクトということもあり、年々、参加者の数は増加しています。 毎年、試行錯誤し、地域の特性を生かしたワークショップを行っていくことで、アートを介した交流を深めています。

2004年 神山アーツ
2004年活動内容

「あっ、自分の『あと』みっけ!」〜はじまりは一本の線〜
何かをつくるといった目的から生まれたワークショップではなく、このワークショップは「線」をテーマに表現することを考えた結果生まれたワークショップです。 まずは、計画段階で、自分たちが線でどのような表現ができるのかを考えました。そこで生まれたのが『赤い糸』『蛍の軌跡』の企画です。これらの企画は、すでに流れが決まっており、参加者は受け手側にまわります。 そこで様々な線の感覚を体感してもらいます。メインは、参加者自ら線を描いていきます。線で構成された大きな絵画を共同制作します。 このワークショップを企画する上で困難であった点は、まず、こちらから線の企画を提示し、受け手側にたった参加者から、参加者自ら線をどう描くかを引き出し、それを作品としてどう完成させるかといった点で最後まで悩み抜いた企画となりました。

『赤い糸』1つ目の企画では、この二日間のワークショップを楽しみに集まった参加者たちに、まず校舎中にはり巡らせた赤い毛糸を、様々な場所から自分の手もとにたぐり寄せ、同じようにたぐり寄せてすすんできた別の人と出会う瞬間を演出しました。 たくさんの赤い糸ではり巡らせた校舎は視覚的にも楽しめ、参加した人にしか感じることのできない何か不思議な気持ちが生まれる企画となりました。

2つ目は『蛍の軌跡』。この企画を行うために、カミヤマート始まって以来の『お泊まりワークショップ』が実現しました。 暗くなった校庭にたくさんの懐中電灯が光り、それにむかって参加者たちは、校庭に入っていきます。懐中電灯を持ち、思い思いに動き回ります。 参加者には秘密で撮影したその光景を、音楽とともに上映しました。それぞれの光が残像として輝き、まるで光の鼓動を見ているようで、就寝の前のサプライズ企画となりました。 3つ目は、神山にある植物や泥から色水を作り、それを使って線を描くというものです。巨大な白い布の上に、雑巾やスポンジ、霧吹きなどを使って、手作りの色水で描いていきます。 最初は大きな画面や、大胆なボディアクションに戸惑っていた参加者も、だんだんと積極的になり、自分の線と相手の線を意識したコラボレーション作品が完成しました。 1本1本、思いを込めて線が描かれ、参加者全員でつくりあげた時間の軌跡がそこに現れました。