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藤原えりみ氏ほど、アクチュアルに現代美術に関わっている人はそういないのではないだろうか。特に雑誌『BLUTUS』の取材をかねて、村上隆氏に海外まで密着取材に行ったくだりなどは、聞いたときに実に爽快な思いがしたことを記憶している。
強固に理論構築されたその博学さと、類いまれなる旺盛な行動力によって、閉鎖的ともいわれる美術界を開示していく藤原氏を見ていると、こちらまで美術界という遠い世界への接続の可能性が予期される。
そして、藤原氏の絶えない笑顔は、美術が何か、自分自身の全存在のすべてを委ねて突き当たるのに十分であることをもまた、物語っていたように感じられた。そんな藤原氏にお会いできたことを、本当に幸運に思う。
(森 啓輔)