Cultre Power
biennale & triennale 独立行政法人国際交流基金/Japan foundation


















Copyright © Aomi Okabe and all the Participants
© Musashino Art University, Department of Arts Policy and Management
ALL RIGHTS RESERVED.
©岡部あおみ & インタヴュー参加者
©武蔵野美術大学芸術文化学科
掲載情報の無断使用、転載を禁止致します。

コメント

 日本美術には、仏教美術が典型的ですが、アジア(特に中国)との交流を発端にして変遷してきた歴史があります。換言すると、アジアを含めて他国への意識が自国の文化の変遷に大きく寄与しているとも考えられます。
 今回、古市氏のお話を伺い、アジアと日本の共同プロジェクトとして展覧会事業を行うことに、過程を共にしながら、相互に影響し合い、発展し合う可能性を感じました。歴史の再考という目的も含め、共同研究、共同キュレーション等の活動には新しいヴィジョンを社会に提案できると思います。今後活躍する美術関係者に必要なのは、理解に基づく他国への意識と関心、そして、自国を見直す視点なのだと考えました。

(竹内那美)

 今年5月13日、授業の一環として国際交流基金文化事業部造形美術チームの古市さんによる「アジアとの美術交流」に関するレクチャーを受ける機会があった。
 大学では東洋画を学んだが、アジアよりも西洋の現代美術について知っていた私にとって、アジアの現代美術の状況を新たに知ることができたと同時に、国際交流基金の成立の過程についてもよく知ることができた。
 韓国や中国よりもタイやマレーシア等の東南アジアの現代美術に関しては資料が少なく、基金のチームが選定した国を実際に訪れ、長期間の調査に基づいて展覧会を企画する中で集めた資料によって現代美術の状況がよりよくわかるようになったようだった。アジア文化センターが企画した展覧会の内、私が特に目を引いた展覧会は2006年に行われた『アジアのキュビスム』であるが、アートの中心地であるパリでも開催されたことは興味深かった。
 また、80年代の日本にはアジアのアートを紹介する美術館が福岡アジア美術館しかなかったというが、そこがあったからこそ多様な民族が集まっているアジア各国の地域性をもつアートを調査でき、良い影響を与えたのではないだろうか。
 古市さんがおっしゃっていたように、以前よりも発展のめざましいアジアと今後どのように一緒に事業を行っていくのか、それは今の私たちが考えるべき課題でもあるだろう。

(パク・ヒジュ)

独立行政法人化(平成15年)にともない、多岐にわたる事業の効果的・効率的実施を目指し、組織の再編が進んでいる国際交流基金。思い返せば、インドネシアのアーティスト、ヘリ・ドノ(Heri Dono)の〈飛翔する天使〉を初めて見たのは「国際交流基金フォーラム」だった。特にアジアの現代美術をクローズアップした企画には、一貫したポリシーを感じる。2003年に開催された「アジア現代美術個展シリーズ」のシリーズ3での韓国人女性アーティスト、イ・ブルの個展「イ・ブル:世界の舞台」展や、東京オペラシティアートギャラリーと2会場同時開催された「アンダー・コンストラクション」展は記憶に新しい。こうした展示が、アジア諸国における複雑な位置づけを余儀なくされている日本の存在を、国内外に向けてポジティヴに印象づける推進力となってほしい。

インタヴュー当時は横浜トリエンナーレ(2001年)の準備室が忙しくしていた時期だった。多くのボランティアを組織した運営方法は、日本でのボランティアをめぐる議論を活発化し、現代アートとの関わり方が多様であることを、社会人、学生、美術関係者、アーティストが各々の立場から認識し、同時に今後の課題を浮かび上がらせるトピックであった。 また、インタヴュー中で尾子さんがおっしゃっていた、日本で行われた展覧会カタログを集めた「アートカタログライブラリー」をはじめ、ウェブページでアーティスト・イン・レジデンスなどの事業を通して集積した情報を検索・閲覧のできる「調査・研究データベース」やインタヴュー前に立ち寄った、図書と外国語雑誌、北米の日本研究博士論文の閲覧サービスのある図書館は貴重である。

現代における文化を支える、人とモノによる国を越えた交流。個人や共同体の幸福に繋がる豊かな経験となって根付いてゆくには長い年月がかかるが、それらは根絶やしにはできないものである。

(越村直子)