コメント
適切な日本語ではないかもしれないが、このインタビューでは終始、田中偉一郎さんにスカされまくった。気負って挑むとふっと力を抜かれしまう合気道のような巧妙さで、誰にも媚びることなく作品をつくり出してしまう。現代とか東京とかに似たコンプレックスにたぶん敏感でありつつも、客観性という地に足が付きながら自由にやっていけてしまう彼の才こそは、私が現代アーティストに対して抱く尊敬の所以だ。
(飯田真実)
自由ということからも、自由なのだろう。「好き」という言葉で、ほとんどのことを片付けてしまう。内側にある強い知性と論理性をあえて出さずに、常に自分の感覚に忠実に生きていこうとする姿勢が、そう感じさせるのかもしれない。彼の作品に理屈で向き合おうとすると、いつも、ふんわりとかわされてしまう。つい、やられた、と思う。その瞬間の、不思議な心地よさが、才能というものなのだろうか。
(山田沙織)