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杉浦邦恵さんの作品に初めて出会ったのは東京写真美術館の「光と影」展だった。森山大道、草間彌生、宮島達男などのアーティストたちの影から、自分自身の今まで抱いていた憧れが迫ってきて、思わず、その大物アーティストたちの共演に感動してしまった。こんなに明快でカッコイイものを作るのは、きっと若い作家に違いないと勝手に思い込んでいたので、杉浦さんの年齢を知ったときは驚いた。鎌倉画廊での作品は、ガラリと印象が変わり、花の生命力がキラキラと溢れている静かな作品で、これも感覚の新しいものだった。
大学の頃からニューヨークに住んで制作活動を続けているアーティストなんて、どんな変わった生活、考え方をしているのかと思ったが、その悩みや考えていることはとても人間的で共感を得られるようなことばかりだった。アートに浸っているという杉浦さんは、他のアーティストの作品もよく観ていて展覧会にも出かけているようだ。本当にアートが好きなんだと思う。
(田中みなみ)