Cultre Power
NPO meats


















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イントロダクション

日本初のアートのNPO(非営利団体)Meats[ミーツ]は、Music Entertainment Art Town Sessionsの頭文字をとった略称。発音だけだと、英語のMeets(ミーツ)に間違えられやすい。とはいえ、人と人、人とアート、街とアートの出会いをはかるNPOだから、内容的にはmeetsというコミュニケーションの意味も秘められているといってもよさそうだ。

ミーツ設立者のひとりで理事の小石原剛氏は、岡山の自由工場に参加することを通して、現代アートにめざめたというアーティスト。その後、大勢の作家を岡山市御野小学校の100周年記念事業「アート・ワークみの」に招聘し、ユニークなイベントを催したPTAの会長でもある。ご自分のアート活動としては、美術館でワークショップを手がけたり、信楽の陶芸家につくってもらったカップを観客に提供し、400種の茶から観客が好きに選んで会場で飲むといった参加型の個展などを開催している。 

岡山の禁酒会館に事務所をもっていた時期にミーツを訪ねた。この大正時代の遺構の禁酒会館も、今ではミーツのプロデュースでリニューアルし、複合施設に改装された。
若者たちが、人や表現との「出会い」の場を求めてカフェづくりに情熱を燃やす今日、ミーツが始めた1日カフェや、デザイナー、建築家、アーティスト、マネージャーなどが共同して誕生させる安価な常設カフェの方法論は、今でも先駆的なモデルである。ミーツがかかわって岡山市内でオープンしたばかりの楽しく快適なカフェ「マルゴ・デリ」で、とってもおいしいフレッシュジュースを飲んだ。場所の所有者丸五ゴム工業株式会社と、カフェを開業したいという店主の縁結びに始まり、さまざまな分野の若手の才能を集めてミーツがプロジェクトをすすめた。手作りカフェの暖かさに心がなごむ。

驚くべき勢いで、21世紀はアートのNPOの時代へと発展している。2003年秋には、地方自治体法が改正になり、公立美術館の運営を全面的にNPOや民間企業に委託できる「指定管理者制度」が設置された。小石原剛氏は2001年のインタヴューのなかで、美術館の運営も一度整理した上で、本当に抱えられない部分はNPOに任せることも可能だろうと話していたが、美術館の売却さえも厭わない強引な民営化の流れを、アートのNPOの先駆者小石原氏は、今どのように考えているのだろうか。

「NPOと考える岡山のまちづくり勉強会」を繰り返し開催し、文化政策提言ネットワークのメーンバーでもある小石原氏の今後の新たな展開に期待したい。

(岡部あおみ)