武蔵野美術大学 芸術文化学科

卒業研究

2009

ひねる
山下昌希
(今井ゼミ)
作品制作
  山下昌希
「ひねる」という行為は、世界を新しい世界へと導いてくれ、喜びを与える行為だと考えます。なぜなら、私たちは「ひねる」ことで、もう飽き飽きしている世界、つまらないと思っている世界を、生き生きとした世界へと変え、気づかないことに気づくからです。 それは、「ひねる」ことによって生じるズレのおもしろさを感じるのと同時に、現実の再確認、価値観の再確認ができる魅力が「ひねる」という行為にはあるということです。 「ひねる」ということばは、ことば自体にも魅力を感じます。考えをめぐらしたり、わざと違った風にするというように思考を表すと共に、モノを指先でつまんでまわすといったように身体の行為を表しているからです。 この二重構造があることにより、思考がイメージしやすいのではないかと考えます。私たちの身体を使って表している思考に関わることばとして、「こねる」、「煮詰める」、「磨く」、「回転が速い」など挙げることができますが、 「立てる」と「練る」ということばを比べるとわかりやすいと思います。企画を「立てる」と企画を「練る」とでは、同じような行為のようですが違ったイメージを持つことができます。 イメージとして、企画を「練る」のほうが企画を「立てる」に比べ、考えて企画を作っていくようなイメージです。このように身体を使って表している思考に関わることば、二重構造があることばは、イメージがしやすいという魅力を感じます。 「ひねる」が持つ、ことばの二重構造を利用して、制作では思考の追体験できる作品、意外性のある作品を目指します。言い換えれば、体験としての「ひねる」をするのと共に、思考としての「ひねる」を感じる作品を通して、自分の頭の中の思考をあいての頭の中にも創り出すことを目指すのです。 そして、最終的な目標として、作品を通して自分を知ってもらえればと思います。
  今井良朗教授
デザインとは何か?どうしても納得しきれない疑問に対してずっと問い続けた。理論書だけでは解決しない問題を、手を動かし、試行錯誤を重ねることから導き出そうとした。 キーワドとしてあげたのが人の動作と関わる「ひねる」、それはズレや変化の面白さであり、再認識することの魅力である。 作品を通して人を動かし、対話を生みだすこと、入り口を用意すること、そのための仕掛けを施すこともデザインの大 切な要素と位置づけた。発想の転換を促す誰もが楽しめる作品になった。