武蔵野美術大学 芸術文化学科

卒業研究

2002

1945-1998
橋本公
(楫ゼミ)
制作
  橋本公
1945年7月、世界初の核爆発実験が米国のニューメキシコ州で実施されました。その直後に広島、長崎への原爆投下が行われ、以後、計2053回にわたって地球上のさまざまな場所で核実験が繰り返されてきました。 1960年代始めまでは、ほとんどの実験は大気圏内で実施され、放射能による大規模な汚染をもたらしました。 1963年、米ソ英の三国が「部分核停止条約」に調印し、地下での実験が主流になりましたが、フランスや中国などはその後も地上での実験を続けました。
その後、世界的に反核の動きが強まり、「核不拡散条約」(NPT)が発効されました。これは、核兵器の数を増やさないことで核戦争の可能性を少なくしようという取り決めです。 続いて1996年に「包括的核実験禁止条約」(CTBT)が採択され、1998年をもって爆発を伴う核実験は停止されています。しかし、アメリカとロシアは、国際社会の批判を無視して、核爆発を伴わない臨界前核実験を続けています。
この作品は、こういった事実を世界地図という見慣れた情報ツールを使って視覚化したものです。 どの国の人々にも理解してもらえるように、文字はいっさい使用せず、地図上の光の点滅と実験回数を示す数字だけで、いつ・どこで・どの国が何回、核実験を行ったかがわかるようにしました。 より多くの人が、この問題について考えるきっかけになれば幸いです。また作品は、データ収集に協力していただいたNPOや、原爆関係の資料館に配布する予定です。
  楫義明教授
この作品は言語の違いを越えて理解できるように言葉を使用しないで制作されています。 作者は虐殺が繰り返されたカンボジアを昨年訪れ、また丸木俊氏の「原爆の図」をはじめとする一連の作品群に触発され、戦争が現実のこととして起きようとしているなかで何かしなければならないという思いで制作したものです。 世界中で2000回以上実施された核実験を客観的に数値化した画面は、人類の犯した大きな過ちをメッセージとして発信しています。